【連載コラム】寺坂直毅の小田急百貨店ジャーニー

  • 【連載コラム】デパート愛好家・放送作家 寺坂直毅の小田急百貨店ジャーニー
6月1日に創業61周年を迎え、この秋には本館からハルクへお引っ越しをする小田急百貨店新宿店。大きな変化のなか、今回は数々の人気番組を手がけ、デパート愛好家でもある放送作家 寺坂直毅さんの小田急百貨店コラム全15回を連載。
小田急百貨店の意外な発見や懐かしいエピソードが満載ですよ。
寺坂直毅 (てらさか・なおき)
放送作家。1980年。宮崎生まれ。
「星野源のオールナイトニッポン」「松任谷由実のオールナイトニッポンGOLD」(ニッポン放送)、「うたコン」(NHK総合)などの構成を担当。
デパートの知識も豊富で、著書に「胸騒ぎのデパート」(東京書籍)がある。
寺坂直毅氏

第4回
建物の秘密&魅惑の外観

2022年6月15日(水)
小田急百貨店の歴史を知って、もっと愛したい。
という事で、前回は小田急百貨店が、今のハルクにあった時代のお話でしたが、その続編です。
今の建物(本館)がオープンしたのは、今から55年前、1967年11月23日の事でした。
14階建てという高層ビル百貨店は前代未聞だったと思います。
初日の入店者数はなんと30万人
未来都市のような西口広場の風景と相まって、新宿駅西口は大いに変貌を遂げたのです。
当時の人が驚いたのは外観ではないでしょうか。
もともと「小田急線(小田急新宿駅ビル)」と「東京メトロ丸ノ内線(新宿地下鉄ビル)」の2棟の駅ビルによって成り立っている本館。外観を同じパネルに統一し、1つに連結させるようなデザインを設計したのは、モダニズム建築で知られる、坂倉準三氏です。
坂倉氏は、新宿西口広場もデザインしました。駅前広場とも一体化するように考慮されているのだそうです。いくつあるのか数えたくなるような窓枠は、見ていて飽きる事はないのです。
ちなみに私、実際に窓枠を数えようと思って西口に立ったのですが、眩暈が起こってしまいました。本当に気を付けて下さい。
本館 外観
50年以上前の建築物として改めて見てみると、その美しさにはっとすると思います。
小田急百貨店の名物として挙げられるのが、外観のイルミネーションです。
クリスマスシーズンになると、照明によって、ドット画のようにいろんな姿を見せてくれました。個人的に、いつかこのビルで、テトリスをしてみたいと思っていました。
また、文字にして、愛の告白なんていうのもいいなと思いました。
クリスマスカラーに彩られた本館
2014年、ドット画のようなクリスマスカラー
2017年のイルミネーション
2017年は「新宿テラスシティイルミネーション17-18」の一環として行いました
2018年のハートのイルミネーション
2018年は大胆なハートです
そしてなんといってもエレベーターがある部分が美しいのです。
空に近づくにつれて、色が淡くなっているのです。天に通ずる道にも見えるし、巨大な大木のようにも見えます。
本館 外観
窓枠、そしてエレベーターの部分は、自然の光によって表情を変えます。
朝の太陽を受け、夕陽を浴び、夜は輝く…。55年間いろんな表情を、私たちに見せてくれたのでした。そして、たくさんの人の思い出の一部になっているのかもしれません。
凄いのは外観だけではありません。
1階から入ると大階段があります。まるで宝塚歌劇、紅白歌合戦のセットのようです。
ここではファッションショーやイベントが開かれました。
ファッションイベントの様子
大階段で行われた2012年新宿店(11月3日)開店50周年 ファッションイベント
大階段
今のうちに主役気分で歩いてみては?
ところで皆さんはどこから見る小田急が好きでしょうか?正面から見るのもいいでしょう。
私は、青梅街道の中野寄り、新宿大ガードの西側の交差点から見える小田急が好きなのです。
なだらかな坂になっているので、小田急百貨店がより大きく見える気がします。
14階建てのビルが天守閣に見えるのです。
寺坂氏のベストスポット
寺坂的ベストスポットです
このビルも見納めですが、新しいビルがどんなデザインになるのか、未来が楽しみで仕方ありません。
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