【連載コラム】寺坂直毅の小田急百貨店ジャーニー

  • 【連載コラム】デパート愛好家・放送作家 寺坂直毅の小田急百貨店ジャーニー
6月1日に創業61周年を迎え、この秋には本館からハルクへお引っ越しをする小田急百貨店新宿店。大きな変化のなか、今回は数々の人気番組を手がけ、デパート愛好家でもある放送作家 寺坂直毅さんの小田急百貨店コラム全15回を連載。
小田急百貨店の意外な発見や懐かしいエピソードが満載ですよ。
寺坂直毅 (てらさか・なおき)
放送作家。1980年。宮崎生まれ。
「星野源のオールナイトニッポン」「松任谷由実のオールナイトニッポンGOLD」(ニッポン放送)、「うたコン」(NHK総合)などの構成を担当。
デパートの知識も豊富で、著書に「胸騒ぎのデパート」(東京書籍)がある。
寺坂直毅氏

第9回
デパートの顔、手提げ袋

2022年7月20日(水)
よく京急空港線や、東京モノレールに乗っていると、日本各地のデパートの手提げ袋を見かけ、郷愁に浸る事ってありませんか?いろんなお土産が入っているのでしょう。
東京にいながらに札幌の丸井今井、熊本の鶴屋百貨店などの手提げ袋が目に入ると、それぞれ故郷の風景が見えてきたり、こどもの頃そのデパートに行った思い出が蘇るのではないでしょうか?手提げ袋やそのデパートのマーク、包装紙のデザインは、そのデパートの分身のような存在なのかもしれません。
小田急百貨店の社紋は、小田急の頭文字「小」を丸で囲んだものです。
小田急百貨店の社紋
通称「ニコニコマーク」。「小田急百貨店の表情」を表しているそうです。
マルの下半分が大きく開いているのは、たくさんのお客さまのお越しをお待ちしていますという気持ちを表すもの。
デパートのマークには色々な思いが込められているのです。
よく見かける現在の小田急の手提げ袋は「O」のマークを重ねたもの。
現在の紙袋
1993年から使われているデザインです。
ODAKYUのロゴの「A」先端の丸くなっているお馴染みのロゴは、新宿を照らす「灯」を表しているそうです。
さて…社紋は開店当時から同じですが、開店当時の手提げ袋はどのようなデザインだったのでしょうか?
新宿駅西口に誕生する百貨店にふさわしい斬新さを表現したいと、小田急電鉄の様々なポスターを手掛け、ロマンスカーの色を選定した宮永岳彦画伯に制作作業を一任
その手提げ袋は、きわめて斬新。
開店当時の手提げ袋
開店当時の包装紙
意外や意外!黒い袋だったのです。
当時小田急百貨店だった現在の新宿西口ハルクの外観に、車と街路樹を配したもので、黒字に白という、かなりインパクトのあるコントラスト。
ちなみに白と黒の包装紙に銀色のひもをかけて、バラ色のような赤のシールを貼ると、かなり鮮烈な色彩だったそうです。
しかし、白と黒は仏事用の印象を与えるのではないか…という声などがあり、昭和41年、新館(現在の新宿店本館)のオープンのタイミングで朝倉摂画伯デザイン、太陽エネルギーと広大な宇宙をイメージした力強いデザインとなりました。
朝倉摂画伯デザインの紙袋
包装紙
この頃から、小田急特有の明るさが出ています。
ですが、白と黒は相当なインパクト。クールでカッコいい!
今ぜひ復刻して欲しいと思うのは、私だけでしょうか。
\手提げ袋デザインの変遷です/
手提げ袋デザインの変遷
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手提げ袋デザインの変遷
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